最近、同年代の友人や後輩から転職の相談をよく受ける。
弊社は転職コンサルタントでもなんでもない、ただのWeb屋なのだが・・・
30歳を過ぎ、転職するならラストチャンス間近ということもあり、悩んでいる人が多い。
ほとんどの人は、「転職しようと思う」の後に、
「年収が・・・」
「役職が・・・」
「残業が・・・」
「福利厚生が・・・」
「有給が・・・」
「上司が・・・」
と、いかに今の会社が自分にふさわしくない場所であるかを語り出す。
今の環境に不満があるから転職を考えているので、ある意味当たり前なのだが・・・
一応、零細企業の経営者である自分の視点からすると、ベクトルが真逆に向いている人が多い。
有名な政治家の言葉を引用しよう。
「国家が貴方のために何をしてくれるのかを問うのではなく、貴方が国家のために何を成し得るのかを問うて欲しい」
これは第35代アメリカ大統領のジョン・F・ケネディの言葉だ。
人生において大事な判断(例えば就職や転職)を行うとき、この考えは大切にしなければならないと思う。
サラリーマンというのは会社に守られている存在であるが、それは組織が期待する「成果」があってこその対価であることを忘れてはいけない。
そのことを忘れて、自分が享受できるものばかりに目を向けていると、誤った判断をしてしまう危険性がある。
ベクトルを正しい方向に向けるための簡単なフレームワークがある。
これは、僕が就職活動をしていたときに、どこかのコンサル会社の人から聞いた考え方だ。
4象限マトリックスの2軸に「存在と不存在」「メリットとデメリット」を使って考える。
存在・不存在は「あなたがいること・いないこと」、メリット・デメリットは「会社関係者(社長・上司・同僚・後輩・顧客・取引先など)にとって」と考えるとわかりやすい。
これにより分けられた4象限をそれぞれ見ていこう。
不存在/メリット
「あなたはいない方がマシだ。」
きつい言い方だが、この状態は、あなたは会社にとってのお荷物で、代替可能な消耗品以下ということだ。
実績もなく、成長性もない。信頼もされておらず、何も任されない。
業績が下がれば真っ先にリストラ対象となるだろう。
存在/デメリット
「あなたはいるけど、(会社は)嬉しくない」
成長性はあるが、実績はなく、まだ実力不足の状態だ。
新入社員などはここに当てはまるだろう。
この段階であれば、もっと必死で努力して成長していく必要がある。
会社からすると赤字社員であり、今後の成長を見込んで投資している状態だ。
存在/メリット
「あなたがいるから、(会社は)嬉しい」
仕事の実績を積み上げ、周りからの信頼を得ている状態だ。
会社からすると黒字社員であり、投資したコストを回収している段階だ。
この状態になると、あなたは仕事が楽しくなる。
不存在/デメリット
「あなたがいないと、(会社は)困る」
あなたは必要不可欠な人間で、抜けられるとみんなが困る。
誰もあなたの仕事を引き継げない。
あなたの代わりはどこにもいない。
この状態になると、あなたはきっと仕事を辞められない。
さて、あなたは現在、4つのうちのどの状態だろうか?
もし、あなたが「不存在/メリット」「存在/デメリット」の状態であるなら、転職など考える必要はない。
環境に文句を言う前に、今の場所でもっと努力して結果を出すべきだ。
あなたが「存在/メリット」の状態ならば、転職を考えてもいいのかもしれない。
新しい業界や業種にチャレンジすることで、より成長できる可能性がある。
今の会社で、周りの人間から信頼される状態にまで辿りつけたのだから、転職先でも適応して活躍できる可能性が高い。
だが、今の環境で後述する「不存在/デメリット」を目指す道もある。
「不存在/デメリット」
あなたがこの状態であれば、おそらく簡単に転職はできないだろう。(しようとは思わないだろう)
そもそも会社にとって必要不可欠な存在で、周りから完全に信頼されている状態であるから、仕事はとても楽しいはずだ。
辞めると言った瞬間に、今の会社は全力で引き止めにくるだろう。
自分が納得行くまで給料や雇用条件の見直しを要求すればいい。
他の会社からも引く手あまたなので、転職先もいくらでも選べるだろう。
だが、次の環境でもこの状態になれるとは限らないため、今の環境で活躍し続けることをオススメする。
最後に・・・
どのような仕事でも、大切なことは「相手の立場に立って考えること」だと思う。
自分の利益にばかり目を向けていると、長い目で見たときに大きな損をするかもしれない。
人生において環境を変えるべきか迷った時は、このフレームワークを思い出して欲しい。
余談だが、この4象限マトリクスは、会社における4つの「じんざい」の話として使われることもある。
それぞれを漢字に当てはめると「人罪」「人在」「人材」「人財」になる。
さて、あなたはどの「じんざい」だろうか?
Teppei