とある人が、ハンバーガー店をオープンしようとしていて「俺は大手Mナルドよりもうまいバーガーを、Mスよりも安く作れる。」と意気込み、オープンしたはいいが、それほどはうまくいかず、「やっぱり大手の資金力には勝てない」というような状況になることはよく聞く話だ。
バーガー屋に限らず、Webの世界でも、その他の業界でも。リーディングカンパニーを痛烈に批判し、欠点を挙げて「そうあるべきではない、大手が業界を駄目にしている」と豪語する人は多い。
しかし大手には大手の役割があり、大手の傘の下で小さなニーズを拾い上げていく小さい企業がある。この形はある意味当然だ。
Mナルドの最大の強みは何だろう
バーガー屋の例えでいくと、Mナルドは言わずと知れた業界最大手だが、1番美味しいバーガーを作っている訳ではない事は誰もが知っている。
ではなぜ、1番いいものを売っていないのに1番なのか。
その答えの1つに"1番いいシステムをもっているから"があるのではないかと思う。
負け組、もしくは勝ち組ではない人たちはみんな「コネ」「カネ」「ブラック」「違法スレスレ」などと言うが、決してそんな事は無い。Mナルドの、効率よく、バーガーを作り、人が働き、人が買っていくシステムは間違いなくトップクラスだろう。
そして言うまでもなく、効率の良さは値段にも反映される。
1人でMナルドよりも安く、Mナルドよりも美味いバーガーを作ることは難しくはないだろう。だが、"100店舗全て"で、Mナルドより安く、Mナルドより美味いバーガーを提供することは誰にもできない。
Mナルドは、バーガーを売っているように見えて、実は美しいシステムを運用しているのだと思う。
美しいシステムがあるからこそNo.1であり、時代とともに移り行くことに失敗した場合はNo.1の座を追われることになる。
もちろん規模のメリットはある。少しの失敗なら物量でカバーできたり、大手だからこそ何をしても一定の注目を集めることもできるだろう。
大きな会社にはその大きさたる理由がある。いい製品を作っていても、小さいままの会社には、大きくなれないそれなりの理由がある。
もちろん後発ながら、うまく"美しいシステム"を作り出し、成長していく新興企業も必ず存在する。
ただ加筆しておきたいのは、もちろん、拡大が全て正義というわけではないし、小さい会社に存在意義がないわけでもない。
巨大化するには、"誰がやっても同じことができる"という標準化が必須だからだ。
あえて巨大化を避け、標準化せず、製品を高い水準に保ち、オンリーワンになるという職人路線も尊敬すべき対象である。
結論
経営とは総合力であり、"いいものを作り出せばいい"などという単純なことではない。
天才アーティスト、熟練職人で、マネジメントが全く駄目でも世間が放っておかない。そんな人は本当にごく一部だし、自分がその0.00何%の天才でないのならば、大手に対する恨み節ではなく、大手の強みと弱みを理解し、自分の強みと弱みを理解し、勝ち方を見つけていく事が大切なのだろう。